岡本栄理

2023年4月、生まれ育った大阪を離れ、上京することを決めました。

実家は大阪で70年以上続く老舗和菓子店「菓匠館 福壽堂秀信(ふくじゅどうひでのぶ)」。幼少期は兄と弟に囲まれて漫画『ドラゴンボール』を読んだりゲームをしたりして育ちました。一方、学校は社長令嬢たちの通うお嬢様学校で、中学生になる頃には「何かノリが合わないかも……」と感じるように。

高校では漫画『スラムダンク』に憧れてバスケットボール部へ。大学は大阪大学を目指したもののうなくいかず、関西学院大学社会学部に進学しました。高校生のときにFIFAワールドカップの日韓戦を見てサッカーにハマった私は、大学ではフットサルサークルに所属。運動神経はいまいちでしたが、足だけは速かったんですよ(笑)。卒業後は、インテリア系に興味があったこと、ものづくりの会社で働きたかったことなどから岡村製作所(現・オカムラ)への入社を決めました。

入社して数年は経理担当として毎日淡々と売掛を処理する日々。その作業があまり性に合わず、仕事にやりがいを見出せない時期を過ごしました。実家に戻って和菓子屋で働こうかなぁ……。そう考えていた3年目、京都支店に異動となり、営業事務としての勤務がスタートしました。営業担当から依頼された見積もりを作成したり、納期を早められないか、工場の担当者と交渉をしたり。人の役に立っている実感が強まり、みんなで目標を達成する喜びを感じて仕事が一気に楽しくなりました。

そんな中、「関西支社長の秘書兼WORK MILL(ワークミル)の担当になってほしい」と打診を受けたのは、入社8年目頃のことでした。実は岡村製作所では2015年に「WORK MILL」を発足させ、個人や組織の働き方や働く場所をさまざまなステークホルダーとともに考えていく活動を推進していました。メディアの発行や東京・名古屋でのイベント開催などを手がけていたのです。

第一印象は「ナニソレ?」でした(笑)。パワーポイントで資料を作ったこともない自分が大阪でWORK MILLを一緒に取り組むメンバーを選定して共創空間のコンセプトを考えてほしいと言われても、わからないことだらけ。しかし東京や名古屋のチームに相談したり、梅田の知的創造拠点「ナレッジキャピタル」に飛び込んだりしながら勉強し、働き方というテーマでイベントをどんどん企画。自分の内にある問題意識から、「女性が生き生きと働けるライフキャリア」をテーマにトークセッションやワークショップを開催したり、時には大阪大学と協業したりすることも。これらの活動によって認知度を拡大していくと「WORK MILLを運営しているオカムラのファンだから、今度新築オフィスを構築する際はまるごとお願いしたい」と営業にも繋がっていきました。

活動を通じて仲間が増えていくと、博覧会協会の方の目にも留まり、「2025年に開催される大阪・関西万博の盛り上げ施策を一緒に考えてほしい」と誘われて万博の機運を醸成していくことに。この頃は年間70回ほどイベントをこなしていました。その繋がりから、万博をきっかけに街を盛り上げる民間活動体である、一般社団法人demoexpoの理事も務めることになり、「EXPO酒場」という取り組みも全国に展開しました。

そんな2022年秋、WORK MILLの本部がある東京への異動を打診されました。東京でもウェビナーなどが開催されていましたが、100~300名ほどの人数が集まっても、一方的に話を聞くだけで共創には繋がっていないのでは、大阪での取り組みを東京でもやるべきでは、という意見が出ていたためです。しかし私は大阪生まれ大阪育ちで、大阪という街も大好きでしたし、万博の準備でも盛り上がっていた時期。「大阪から日本の働き方を変えていくんだ!」という気持ちが強かったので戸惑いましたが、「WORK MILLを発展させていくには東京に行くしかない」と思い直し、2023年の年明け、東京への異動を承諾。2023年4月から東京でWORK MILLの活動を始めました。

それでもはじめの数カ月は「月の半分を大阪で」とスケジューリングしていましたが、大阪は後任に任せるべきと考えるようになり、東京でのWORK MILLの活動拡大に注力するようになりました。東京は駅ごとにカラーがあり、大阪のように「とりあえずみんな梅田に集まる」といった空気を作りづらいのが現状です。それでもとにかくつながりを作るしかないと考えてイベントを開催し続けた結果、少しずつ仲間も増え、認知も拡大していきました。現在では企業から共創的手法を取り入れた「働く」にまつわる課題解決プロジェクトなどにも呼ばれるようになり、活動が拡大しています。

2027年にはGREEN×EXPO 2027が横浜で開催されます。。大阪での万博の取り組みの実績から、今度は横浜の方たちに呼ばれ、新たな繋がりづくり・機運醸成に注力しているところです。これからも共創に触れて人生が変わる喜びを世の中に広げ、いろいろな人の生き方・働き方をよくするための活動に取り組んでいきたいと思います。

(構成/岸のぞみ)

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「働く」をテーマにしたプラットフォーム WORK MILL


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