清家さんショート

72歳のとき、背骨コンディショニングインストラクターの資格を取得しました。

大分県佐伯市で生まれ育ち、21歳で結婚を機に福岡県北九州市へ。2人の子育てをしながらしばらくは専業主婦をしていたのですが、子育てが少し落ち着いてからパートタイマーで事務の仕事を始めました。その後、38歳から家の近くの高齢者向け病院でリハビリ助手として15年間勤務したのち、1人暮らしの高齢者を対象に、市民センターで月に1回実施している「ふれあい昼食会」のボランティアスタッフになりました。

転機は65歳のときです。6歳上の夫がすい臓がんだと診断されたのです。ステージ4aでギリギリ手術が可能な状態。ショックで誰にも話せず、人と会いたくなくなり、家で泣きながら家庭菜園の草取りばかりしていました。その姿勢とストレスが良くなかったのでしょう。「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」という病気で、ほとんど歩けないような状態になってしまいました。
「困ったな……」と思っていくつかの病院に行ったのですが、明らかな原因も治療法もわかりませんでした。少しでも改善するために、インターネットで調べてみたところ、「背骨コンディショニング」という体操があることを知りました。

背骨のゆがみがさまざまな体の不調を引き起こすといわれています。背骨コンディショニングは、背骨を緩め、矯正し、筋トレすることで、背骨のゆがみを改善する体操です。
教室に通うと、1年以上治らなかった背中の痛みが嘘のように改善されたのです。自分がこんなに元気になったので、「ふれあい昼食会のシニアの方々にも伝えたい!」と思い、一般社団法人背骨コンディショニング協会が提供している講師の育成講座に申し込むことを決意しました。

分厚い教本を読み込み、一生懸命勉強しました。当時の72歳という年齢はまったく気になりませんでした。やる気さえあれば、年齢は関係ないと思います。

講師の資格を取得し、最初は市民センターのふれあい昼食会でボランティアでレッスンを開始しました。その後、公民館でも教室を始めました。1時間半のレッスンの後には、体の変化がよくわかるので、生徒の皆さんにもとても喜んでいただけています。運動だけでなく、みんなで集まっておしゃべりをする楽しい場をつくれたのも嬉しいですね。
その中で、「今日は休もうと思ったけど、やっぱり来て良かった!」と言ってくれた人もいます。また、手がしびれて肩が痛くて上がらない人が、腕立て伏せをして痛みが和らいだり、旅行に行けなくなった側湾症(そくわんしょう)の人が旅行に行けたりしたことも。そういう生徒の変化を見られることが嬉しく、励みになりました。またご褒美で年に一度のお食事会も開催し、皆さんが嬉しそうに過ごす姿を見てやりがいを感じました。

ちなみに、夫は手術の後、奇跡的な回復を果たし10年間生きてくれました。担当した医師もめったにないことだと驚いていました。

72歳で新たな一歩を踏み出したことで、人とのつながりがどんどん広がっていきました。挑戦して良かったと思っています。

(構成/尾越まり恵)

一般社団法人背骨コンディショニング協会 ホームページ

おすすめの記事