高畑洋平

私の決断は、27歳のときに勤めていたみずほ銀行を退職し、小学校教員免許を取得したことです。

小学校4年生から中学受験対策対策で地域の学習塾に通い、5年生から大手のSAPIX(サピックス)へ。勉強自体は嫌いではありませんでしたが、大手塾に入ると毎週実施されるテストでクラスを入れ替える苛烈な競争が始まります。納得のいく結果が出せなかった自分にとって、塾での日々は思い出したくない過去となってしまいました。そんなとき、小学校5~6年生のときの担任教師に一縷の希望を見出しました。観察力の優れた先生で、例えば体育の授業でバスケットボールをしているときにも、ボールを持っていない生徒の動きなどに注目して評価してくれるような先生でした。

受験は何とか成功し、東京都港区の芝中学・芝高等学校を経て、早稲田大学商学部へ進学。大学時代は家庭教師と塾講師のアルバイトにのめり込みました。塾では小学3年生~中学3年生までを担当していましたが、朝から夜までの12コマはあっという間。社内教育制度がしっかりしており、月の授業の巡回で高い点数を取ることができれば表彰されるシステムが導入されていました。表彰されると大きなやりがいを感じるとともに、目線を合わせ、相手の立場に立ってコミュニケーションを取っていく大切さも学ぶことができました。

大学卒業後、一度は社会を知っておこうとみずほ銀行に入行。しかし、講師の振る舞いで子どもの人生を左右する教育の仕事については「これ以上にやりがいのある仕事はない」と考えていたので、いずれ教員の世界に戻りたいと考えていました。銀行には4年間勤務し、その間、2年間の通信教育と1カ月の教育実習、1週間の介護体験を経て、小学校の教員免許を取得。2017年、27歳のときに中学受験に特化したカリキュラムを提供する私立淑徳(しゅくとく)小学校の教員に転向しました。小学校では3~4年生を担当。勉強だけでなく「学校生活の何たるか」や「生きる力」を教えていく教員の仕事は塾講師とはまったく異なるものでした。

学校は自主性を重んじる教育方針で「会社活動」というカリキュラムに力を入れていました。社長になりたい人は「黒板を消す」「ランドセルを整える」などの実行したい仕事についてプレゼンし、それ以外の人たちは、入社したいと思った会社を選択します。最終的に他社に所属する人々が仕事内容について評価し、最も多く票を持っていた会社が優勝するというシステムで、指示待ち人間にならず、自ら考えて発想する力が身につきます。

4年間で100名近くを指導。仕事はやりがいのある一方で、中学受験でのさまざまな問題に直面。保護者面談で「中学受験の質問」をされても専門家ではない自分にはうまく答えられません。塾の宿題も学校の宿題も膨大にある中で、保護者は悩み、子どもも自信をなくします。保護者の方の相談に乗り、情報を整理する仕事はないのだろうかと調べてみると、意外と少ないことが判明。受験に苦しむ家庭を救いたいという想いから教員を退職することを決意。現在は国内唯一の中学受験コンサルティングサービスを手掛けています。

このサービスは、保護者に正しい勉強法、言葉がけ、志望校選び、親子関係の構築の仕方について中立的な立場から整理し、アドバイスしていく事業で、2025年に5期目を迎えます。これからも中学受験を導いていく司令塔、中学受験の専門家として各家庭を支えていきたいと考えています。


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